雨の日は、土や草木、アスファルトなどの匂いが普段よりも増して強く感じられる。「雨の匂いがする」とよく言うけれど、それは雨そのものの匂いではない。晴れの日には感じることのない、気にも留めない、または忘れ去られてしまったあらゆるものたちが雨に濡れることで、その存在を主張するかのように匂い立つのが雨の匂いなのだ。
手づくりのクリスマス
子供の頃、クリスマスの朝に玄関の外に置かれているプレゼントを手にした時の、箱のつめたい感触と包装紙を開けるときの胸の高鳴り、家族といつもより少しだけ豪華な食事をしながら、テレビでクリスマスの特別番組を見ている時の幸せな気持ちはいまでも覚えている。
解き放たれるために
毎日電車に乗っていて、ああこのままわたしはどこにも行けないんだなという気持ちになって無性に悲しくなる時がある。