物書きになりたい、なれるかもしれないと思い立ち、とっかかりが何も無いまま町の文房具店で原稿用紙を買って、詩のようなものを書き始めたのは16才の頃だった。当時の「DOLL」や「Fool's Mate」のような雑誌には「ミニコミ・サークル募集」「友達募集」などといった読者参加のページがあり、日本全国のミニコミ編集者が書き手を募っており、今では考えられないことだが、ほぼ全員の本名と住所が掲載されていた。急に大手の出版社に原稿を持ち込むような度胸も才覚も無いので、そうしたインディーズの出版物と関わりを持つことからきっかけが掴めるのではないかと考え、ある東京の文芸誌を作っている人に書いた詩を数篇送ってみた。