決まってそれは、秋のおわりか、冬のはじめ。父は安く買ってきたサツマイモをアルミホイルにくるみ、さらに上から新聞紙でくるむと、庭にあるコンクリートのブロックで簡単に囲っただけの手製の炉に放り込んだ。火を付けてしばらく待ち、サツマイモを取り出す。アルミホイルをはがせば、濃い紫色のそれは、蒸気を盛んに立てて、軍手をした父がふたつに割ると、黄色い芋の中身が現れ、熱く甘い臭気が、冷たい外気に溶けてゆく。
決まってそれは、秋のおわりか、冬のはじめ。父は安く買ってきたサツマイモをアルミホイルにくるみ、さらに上から新聞紙でくるむと、庭にあるコンクリートのブロックで簡単に囲っただけの手製の炉に放り込んだ。火を付けてしばらく待ち、サツマイモを取り出す。アルミホイルをはがせば、濃い紫色のそれは、蒸気を盛んに立てて、軍手をした父がふたつに割ると、黄色い芋の中身が現れ、熱く甘い臭気が、冷たい外気に溶けてゆく。