大切な約束が果たされなかった。人との関わりの中でこんな痛みがあることをはじめて知った。その痛みをどうすればいいのか分からなかった。
感覚の記憶
わたしは記憶力には自信がある。いつどこで誰とこんな話をした、とか、この店には誰と行った、とか、この映画はどの映画館で見た、とか。そういう細かいことでも結構忘れない。
日記から遠く離れて
ずっと日記を書いている。かつては自分の心をどうにかするために日記を書いた。その頃の日記はだらだらと長く、ノートの罫線も無視して書かれている。今はもう、そういう日記は書かない。1日あたり100文字ほどのスペースしか与えられていない5年連用日記に、黒いボールペンで読んだ本や観た映画、行った場所などを記録する。24時間ごとに区切られた生活。自分を枠に押し込める実験。断片が蓄積されていくことが今は楽しい。
これからも続く、終わりのあるこの世界で
私の書いた手紙を読んでくれた人から、そのまま話しかけているような文章ですね、と言われた事がある。何となく気恥ずかしかったけど、そんな文章になったのは多分、私が学生時代にひたすら日記を書いていたからだ、と思う。友達にも家族にも、悩みを打ち明けることが出来なくて、そもそも人に相談をする事が極端に苦手で、学生時代、とりわけ高校生と大学生の時、ひたすら日記に日々の思いを話しかけるみたいに書いていたから。